今日は日曜日。
西日本から東京へ向かう新幹線の車内で、乗り換えの駅構内を歩いていると、目に入ってきたのは大きなキャスター付きのスーツケースを引く旅行客の列。平日のビジネス客とは明らかに異なるその光景に、「ああ、今まさに大阪万博が開催中で、瀬戸内芸術祭の春会期も今日が最終日なんだ」と気づかされました。
そして、ふと思ったのです。この“旅する空気”の背景には、どんな宿泊の動きがあるのだろう? そして、その熱気は3年後、どう姿を変えているのか?
この記事では、2025年5月26日という**「熱のピーク」**とも言える今日を起点に、西日本の宿泊市場がこれから3年でどう進化していくのかを考察していきます。
■ 万博がもたらす短期的熱狂と、その“副作用”
2025年4月に開幕した大阪・関西万博は、来場者目標3,000万人。いま大阪市内のホテルは稼働率90%超、平均客室単価は2万円台という過熱状態にあります。肌感覚でも、駅周辺の人の流れに「特別な高まり」があることは感じられます。
しかし、万博は半年で終わります。2025年10月の閉幕後には、空室リスクや価格調整の波が来るでしょう。
だからこそ今は、“特需の収益”を2026年以降の平日需要の種まきに回す戦略が重要です。ホテル事業者はもちろん、民泊や簡易宿所なども万博後を見据えたリブランディングが求められます。
■ 芸術祭の“余韻”と、地方宿泊の静かな熱気
今日が最終日となった瀬戸内国際芸術祭・春会期。イベントが終わっても、宿泊需要は終わりません。
SNSでは早速、現地の写真や感想がシェアされ、**「行きそびれた人たち」や「次こそ行きたい人たち」**が夏会期(8〜9月)に向けて動き出しています。
実際、小豆島・直島・高松周辺では、“余韻消費”として初夏に長期滞在する旅行者が現れており、地方の民泊やゲストハウスに静かな需要が生まれています。
都市部のように「今がピーク」という動きとは違い、地方は**これから準備して間に合う“次の波”**がある──それが瀬戸内の面白さです。
■ 民泊とグランピングの“再定義”が始まっている
都市部では、ホテル価格の高騰を受けて民泊需要が再燃。特に大阪では、**特区民泊の柔軟な運用(2泊3日以上・日数制限なし)**が奏功し、稼働率70〜80%の施設が増えています。
一方、地方では**「泊まる+体験する」が標準化されつつあり、古民家や空き家を活用した“暮らすように泊まる”民泊**や、リトリート型のグランピングなどが注目されています。
グランピングも単なる“映えキャンプ”では生き残れない時代へ。2026年以降、企業研修やワーケーションなど平日需要を取り込めるかが勝敗を分ける鍵になりそうです。
■ 西日本宿泊市場が描く“二極化”の未来図
2026年以降の宿泊市場を見渡すと、次第に二極化の構図が明確になってきます:
区分 | 特徴 | 必要な戦略 |
---|---|---|
都市型(大阪・京都・福岡) | 高単価・短期決戦型 | 価格調整・MICE誘致・平日需要創出 |
地方型(瀬戸内・山陰・九州) | 低コスト・長期滞在型 | 体験パッケージ化・民泊多拠点戦略 |
都市では、IR・MICEなど新たなイベント消費層が狙い目。地方では、サステナブルな長期滞在と再訪意欲の設計が求められます。
今後の3年は、**「どちらかではなく、両方をどう組み合わせるか」**が問われる時代です。
■ いま動くべき人への3つの提言(2025年5月時点)
- “特需”に依存せず、2026年以降の平日・地方・再訪客に焦点を当てる
- 宿泊だけでなく「体験+滞在」パッケージの設計を急ぐ
- 民泊・簡易宿所・グランピングを“分散型宿泊戦略”の主力とする
今が静かな準備期間です。この時期の動きが、3年後のポジションを決めます。
■ 結語:今日の熱気が、未来を切り開くヒントになる
大阪万博、そして瀬戸内芸術祭。どちらも、いままさに日本の観光が“再起動”している現場です。
ですが、本当に重要なのはこの特需の「その先」。今、準備を始めた人だけが、2026年・2027年・2028年のチャンスを先取りできるはずです。
今日というこの熱気の中で、未来への舵を切ること。
その意識の差こそが、次の3年の明暗を分けるのです。
ポチしていただけると励みになります!応援いただき感謝申し上げます。
にほんブログ村
コメント